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I 二酸化窒素の測定
測定方法
 どこにでも取り付けられ、しくみが簡単、費用が安く、 手軽にNO2を測れるので天谷式簡易測定法を用いています。
 自治体の大気汚染を測定する自動測定器と同じ原理で、 ザルツマン試薬とNO2を化学反応、発色させ比色分析により濃度を測ります。 NO2の捕集法で、自動測定室はポンプを使って吸い込んだNO2を 直接ザルツマン試薬に吸収させますが、簡易法はトリエタノールアミンを 含ませたロ紙をプラスチック容器(カプセル)に入れ、大気中にNO2をつかまえます。

図

 このカプセルを測定場所に逆さにふたをとって取り付け24時間放置します。
 カプセル回収後、ザルツマン試薬を加え発色させ、 変色の度合いを比色計でNO2の捕集量をだします。
 自治体の測定値とカプセルのNO2捕集量とを比較して その日の気象条件における換算係数を決定します。 それを用いて各々の測定場所での濃度(ppm)に換算します。

図
カプセルの作り方
 親指大の透明プラスチック容器(八王子大気汚染測定ネットで貸します)の 内側に4.4×2センチのクロマトグラフ用紙(東洋ろ紙50番が良い)を壁面 ぴったりつくように丸め込み、捕集液を小型スポイトで4滴垂らします。

空気暴露
 カプセルの蓋をとって逆さまにし、測定場所の柱などにゴムで縛り付けて24時間放置します。

比色分析
 24時間暴露したカプセルにザルツマン試薬を5ml入れ、15分放置して発色させます。 比色計で電流を測り、補集量に換算します。

試薬と比色計
 捕集液:NO2を付着します。トリエタノールアミンと蒸留水を同量混ぜた液に フェノールフタレインを微量加えて着色します。
 ザルツマン試薬:NO2を計る発色液です。 りん酸、スルファニル酸、ナフチルエチレンジアミン塩酸塩の水溶液で、 弱酸性です。皮膚や服についたらすぐに水洗いしてください。
 比色計:八王子大気汚染測定ネットが持っているものを貸し出します。 購入する場合は(株)アグネ技術センター(電話03-3409-5329)へ注文します。 カプセル中のろ紙に24時間の間に付着したNO2量を求めることができます。
データの処理
濃度ppmの求め方
 5個の測定カプセルを八王子市の自動測定局の空気取り入れ口近くに取り付け、 その平均のNO2捕集量と自動測定局で得られた濃度ppmの比を計算して換算係数を求めます。 自動測定局の値は、東京都のホームページに大気汚染地図情報(速報値)としてリアルタイムで 掲載されるので、そこから入手します。
東京都の大気汚染テレフォンファックスサービスは 03-5320-7800 です
 なお環境省でも、同様に関東地方の大気汚染測定速報値をホームぺージで発表しています。
比色計で求めたNO2量に換算係数をかけて濃度に換算します。
ppmとは
 濃度の単位で100万分の1ということです。 1メートル四方の水槽に1グラムの砂糖を入れてかき混ぜた時の水の甘さです。 NO2の環境基準は砂糖6グラムまでの濃度です。

環境基準値
 NO2は,1973年に一日の平均値が0.02ppm以下と定められましたが, 1978年に0.04から0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下と 科学的な根拠の無いまま改定されました。

データのまとめ方
 測定データを表やグラフにするほか、測定地域の地図に落とし、まちの大気汚染状況をつかみます。 道路の状況や交通量との関連から、問題点を明らかにします。

 わたし達のデータは、まず八王子市を大きく4つに分けました。

*東南部:多摩ニュータウンなど、横浜線付近から東側。
*中央部:JR中央線より北側で中野上町あたりから東側。
*北西部:JR中央線より北側で楢原町あたりより西側
*南西部:JR中央線より南側で横浜線より西側


 さらにそれぞれの区域で、測定場所の環境ごとに4つに分けました。

*幹線道路:国道と主な都道。
*その他の道路:国道都道以外の道路
*道路以外:通り抜けの無い道路や公園など
* 二階以上:マンションなどの上階

この測定場所の環境の分け方は、市民による大気汚染の一斉測定のデータのまとめ方を採用しています。

図
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