自動車排ガス公害を防止する 対策はあるのか
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自動車の排ガスのうち、二酸化窒素とディーゼルが出す黒煙
(特に直径が1万円札の厚さの1/40の極小微粒子)は人の
肺,気管、気管支の奥まで入り込んで、肺ガンや気管支喘息、花粉症などの病気の原因となったり、
悪化させたりします。自動車排ガスの害を防止する主なものには次のようなものがあります。
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植栽された微生物の存在する土壌に排ガスを通して浄化するもの。
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フラットの道路に設置された場合
川崎市池上新田公園前(2階建7車線)道路沿道の一部に設置した50mのダク
トに排ガスを吸引、90%浄化。しかし、一般に全交通量の排ガス吸引能力は20%。
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大阪第2阪奈道路の生駒トンネルでは、
トンネル内全排ガスの3%を吸引。90%以上浄化。しかし、トンネル内の排ガス
濃度は高いので、トンネル坑口だけでなく、トンネル内部にも脱硝装置をつけな
いと排ガス除去率は低い。
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問題点は、土壌脱硝装置は排ガスを吸引した範囲の効果は高いが、浄化用の土壌を設置する広いスペースが必要。
都心の場合土地確保が困難。また、浄化用の土壌の機能が劣化する可能性なきにしもあらず。
実験期間が3年なので、耐用年数も不明。
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(植物に二酸化窒素を吸収させる方法)
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練馬区小竹町36道路(区間600m)
道路幅16m,交通量約17,800台,大型車混入率9%。沿道に築堤か遮音壁を設置。車道から民家までは11m〜13m。
車道を合わせて全道路幅39〜41m。その間,車道、歩道3.5mを除いて、高木、中木、低木を混栽。
この結果、99年6月の11〜43mまでが0.018〜0.026ppm,歩道NO2濃度は車道路端から
対策のない所は道路端より17〜38mで0.043〜0.050ppm。
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樹木の背後に見えるのが遮音壁
(練馬区小竹町36道路緑樹帯)
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問題点は、土地が必要。都心では購入する地代と住宅立ち退きが必要。
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光触媒
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(東京都板橋区大和町交差点付近)
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二酸化チタン(ビルや家等に使う白色塗料に80〜90%含有)を塗った壁などに光が当たると窒素酸化物が
水に溶けやすくなり、雨に流される。
具体的には、二酸化チタンをボードに塗布する方法などがある。
使用箇所は、トンネル出入り口の壁面、建物の壁面、高速道路の遮音壁、中央分離帯、歩道等。
問題点:途方もないスペ−スが必要。
二酸化チタンそのものは長期間使用しても変化しないが、
塗布したものがはがれ落ちる心配があり、作り直す必要がある。
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結論:現在では、公害防止のよりましな手段として
★道路のトンネル化+土壌脱硝装置か、
★盛り土+シェルター+土壌脱硝装置+植樹帯
(地上トンネル)
等が考えられるが、さらに検討の要あり。
現在の環境を守る抜本的技術対策は、今のところ見あたらない。
道路新設の目的には常に、渋滞解消や、街の活性化をうたうが、
その前に、既設道路や信号の改善、そして何よりも交通量の規制なしには、
現在の環境を守るどころか、道路新設の目的すらおぼつかない。(是枝)
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